WEB連載

第1回「ハイランダーとの出会いは古書店の書棚の前で」

こんにちは。はじめまして。わたくし、コマと申します。

 唐突ですが、わたくし、昨年からずーっと「ハマっている」ものがありまして。それを絵にしたり漫画にしたりしてツイッターでぶつぶつ呟いておりましたら、思いがけず集英社クリエイティブ様からこのスペースを頂いてしまいました。人生、何が起こるか分かりませんな! 約1年半ぶりのハイランド・ガード・シリーズ新刊発売記念の尻馬に乗って、欲望の赴くままに集めた資料やら集まってきた知見などを、拙いながら皆様にご紹介したいと思います。どうぞ、よしなに!


 まずは、私が「彼ら」にハマった経緯をば。


 改めて――みなさんはハイランダーってご存知ですか?

 一般的にこの言葉は「スコットランド北部のハイランド地方に住む人々」のことを指します―が、翻訳ロマンス小説界隈では「筋骨隆々で寡黙な堅物ヒーローがヒロイン相手にツンツンツンツンした挙げ句、陥落デレ甘するジャンル」を意味します(断言)。いわゆるヒストリカル=歴史物のカテゴリのひとつですね! 去年、近所の古書店で偶然とある一冊を手にとって以来、私はこの『洋物のお侍さん』とも言える物語の設定にどっぷりとハマっていったのでした。
 本家の英語圏ではこの「ハイランダー」は一大ジャンルらしく、モニカ・マッカーティ、パメラ・クレア、マヤ・バンクス、ジュリー・ガーウッドなど、数々の大御所作家さんたちが様々な趣向を凝らし彼らの物語を書いていらっしゃいます。筆を握る人は変わっても変わらない彼らの「特色」は、何をおいてもまず「氏族命」であるということ。その堅物な、融通の利かなそうな感じ、なんとなく日本のお武家様に通じるところ、時代劇好きの私のハートにぐさりと来ました。あと、しょっぱなヒロインにやたら無愛想なところもツンデレ好きにはポイントが高かった。お姫様に愛と忠誠を誓うあま〜い騎士のお話もよいですが、この「好感度0から始まる傲岸不遜な俺様ヒーロー」が少々ロマンスに飽き気味だったところにすごく新鮮だったんです!

 以下、私的にハイランダー最高じゃない? と思った部分を書き出してみました。

 あーやっぱハイランダー最高だわー……(しみじみ)


 しかし、ついに今年、私は既刊のハイランダー翻訳小説を読み終わってしまったのです。正月のコタツでゴロゴロしつつお節をつまみながら嗚呼これからどうやって生きていけばよいの……と嘆く私にロマンス小説クラスタの先達フォロワーさん達はTwitter上でこんな尊い啓示をお与えくださいました。

「翻訳されてない原書ならまだまだいっぱいありますよ」

 ――と。

 そそそその手があったか……!!でもわたし英語読めないんですけど! ままままあ細かいことはいい!――早速「highlander novel」で検索してみると、モニタいっぱいに広がった画像がコレ。

ウワ――肌色率高ェな……!!!!

 海外ロマンス小説の表紙って総じて男性の脱ぎっぷりが潔いのですが(お国柄の違いを感じますな……)中でもhighlanderは脱いでる。めちゃめちゃ脱がされてる。基本、民族衣装であるキルトを一枚巻いた「だけ」という軽装オブ軽装。こんなんバスタオル腰に巻いて肩に手ぬぐいかけてる湯上がりのオジサンと一緒ですよ。相方のドレス女子のほうがまだおっぱい上部は出てるけど隠れてる。そもそも戦闘描写が多いジャンルなのにこれじゃ防御力なんて皆無だし、それより何よりすっげー寒そう。大丈夫かこんな装備でハイランダー……。
 それまで、なんとなくこんな感じなのかなーくらいのイメージで読んでいたハイランダーへの具体的な疑問がむくむくと湧いてきた瞬間でした。

 ――スコットランドってたしか寒い国じゃなかったっけ?
 ――あれ、そもそもスコットランドってどこにあるんだっけ?
 ――どこらへんの時代のお話なんだっけ?

 そこで、ようやく私はハイランダーの住む「スコットランド」を調べることにしたのでした。皆様、ここが沼の入り口でございます。


 今更ですけどインターネットは便利です。「スコットランド」で検索するとすぐ見慣れた形の島が出てきました。でもあれこれってイギリスじゃ……。

 調べてみると、スコットランドはイギリス?で、北海道の稚内より全然めちゃめちゃ北にある国なのでした。
 ええええ寒そうどころの話じゃないじゃん! えっ、スコットランドってイギリスなの? 一部っていうか連合国? グレートブリテン及び北アイルランド連合王国?   長くね? あれ、日本とそんな面積変わらないのね? つか日本のほうが大きいの? ほへー。

 思えば、高校時代の世界史の授業は「隣のクラスの友人としている交換日記を書く」時間としか認識していなかった私は、イギリスが4つの国「イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランド」からなる連合国家だということを四十を越える今! このときまで! 知らなかったのでした。これたぶん一般常識なんですよね……お恥ずかしい。しまったよ……中村吉右衛門と出会って梨園の妻に収まるにはどうしたらよいかを描いた「きちえもんとわたし」の執筆に青春時代3年間をかけてた場合じゃなかったよ……ちゃんと授業聞いてたらよかった……あのときの世界史の先生ごめんなさい……今から考えたらめっちゃ勿体無い話だわ……。むかし森高千里も歌ってたけど今更だけど勉強はしといたほうがいいね絶対。ようやく分かった。実感した。

 そして、この頃から私のハイランダー熱はうなぎのぼりに上昇し、夫にこんなお願いをしてしまう事態となっていたのでした。

違うだろ!!! そこは「アイ(ああ)、ラス(娘)」だろおォおおおおおおお!!!!

第2回へ続く。

<ベルベット文庫 ハイランド・ガード・シリーズ 好評既刊>
モニカ・マッカーティ・作  芦原夕貴・訳

『ハイランドの戦士に愛の微笑みを』

『ハイランドの鷹にさらわれた乙女』

『ハイランドの仇に心盗まれて』

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