WEB連載

第5回「ロバート・ブルースさんっていま旬なんじゃない?」

 こんにちは、コマです。

 昔は特に良いとは思わなかったはずの曲がつけっぱなしのラジオからふいに流れてきて、形容し難い懐かしさについつい家事をする手が止まってしまう……そんな冬の日。みなさま、いかがお過ごしですか。

 いやーいいですね、カルロス・トシキ&オメガトライブ! この湘南感! 冬だけど今!  それにわたしが住んでいる日本海側にはなかったけどねこんなオシャレな海! 逆巻く荒波の中で石倉三郎が寒ブリ獲ってるイメージだからね海ってもんは!
 いや、でもそうか……。アラフィフ世代って当時こんな曲を聴きながら青春謳歌してたのか。だったら確かに海沿いの朝焼けの道を走るためにいい車が欲しくなるし、海辺のヴィラで夜な夜なランバダ踊りたくもなるし、世界で一番最初にボジョレー・ヌーヴォー開けるためにトワイライトから騒ぎたくもなるよね。分かる。わたしは微妙にこの時代を外しちゃった世代なんだけど、なんか流れてくる曲くる曲良すぎて日本の景気復活させるためにはカルロス・トシキが鍵なんじゃないかとまで思ってるもん今。こういう「なんかよく分からないけれど憧れちゃう」感じ欲しいもん。あー、わたしもマクルアリとかフレイザーとかのイニシャルつけたシャツに着替えて渚を走りたかった! ソーダー水のグラス越しに夕陽の中で愛を見つめたかった! 濡れた瞳でアクアマリンのまま震えながら波間に飛び込みたかったーー! なんかよく分からないけどーー!


 そうそう、波と言えば今秋からNetflixで、映画『アウトロー・キング 〜スコットランドの英雄〜』が配信されてますね! 来てますねスコットランドの波が! (見よこの自然な導入を!)これ、そのまんま<ハイランド・ガード>の舞台となった時代のお話なんですよ。ロバート・ブルースがスコットランドの王様になるまでのお話なんですもん。新刊発売近くにこんなタイムリーな映画が配信されるなんて凄くラッキーな出来事……って、いや待って……? ――ハッ!

 も、もしかしてハイランダーの波も来てたりする……? 我々、知らないうちに世界的な波に乗ってた……? うそ……まさか、カルロス……。(口元をおさえる)


※映画版のロバートさんはクリス・パインさんが演じてて普通にカッコよかったです。


 ――さあ、ではこのビッグ・ウェーブに乗っていきましょう! いったい「700年後に映画化されるほどの何が」14世紀のスコットランドで起こったのか! あ、やっとタイトル通りの基礎知識っぽくなってきました。5回目にしてやっとかよー。うわー長かったー。何やってたんだよ今までー。(お察し)

「そもそもこの時、何があったのか?」

@まず、それまでスコットランドを統治していた王様の息子2人と娘が立て続けに死去。王様本人も死去。唯一残された外孫も死去。1290年、王家の血筋が途絶えてしまう。

Aそしたら、「アレクサンダー3世の遠縁の人達」が次々に王位継承権を主張し始めたので、スコットランド大混乱。最終的に13人も出てきた。


「どーぞどーぞ」とはならなかった。

Bらちが明かないので、隣国イングランドのエドワード1世に仲裁を頼んじゃう。


なんで頼んじゃうのよーもー。

Cこの機に乗じたエドワード1世は「イングランドの操り人形」にするべく13人の中からジョン・ベイリオルという貴族の一人を推挙し、戴冠、忠誠を誓わせ、以後イングランドの家臣として扱うようになる。当然スコットランド貴族は大反発。


傀儡政治というやつですね。


この方もロバート・ブルースって同じ名前。ややこしい。

D無事に王になれたものの、イングランドからは締め付けられ、自国スコットランドの貴族達からはやいやい言われ、苦しい中間管理職みたいな立場になっちゃったジョン・ベイリオル、ついにブチ切れて忠誠の宣誓を拒否、挙兵。フランスとも同盟を結び、イングランドに侵攻する。


ブチ切れ。


まぁそうなるよね……。

Eジョン・ベイリオルは反乱の罰として廃位され、ロンドン塔に幽閉されちゃう。更にスコットランドの王位はイングランド王に没収される形に。この頃からスコットランド各地で反乱が起こる。その最たる指導者が――あの! ウィリアム・ウォレス! ワオ! ここに出てくるのね!


実際はもうこんなふうに顔を青く塗ったりはしてなかった、とか。

Fでもエドワード1世、むっちゃ強い。

 エドワード王、無双。めっちゃ怖い。ウォレスは歴史に残るような残酷な拷問の末、処刑されちゃう。もうとにかく逆らうと大群連れて押し寄せてくるから、スコットランド貴族は完全にビビってされるがままになってしまう。

Gでもでもこの男、キャリック伯ロバート・ブルースは諦めなかった。表向きは恭順を装いつつ、虎視眈々と反撃の機会をうかがっていた。

 その間、エドワード王の忠臣の娘さんと再婚させられたりもしてる。ちなみに前述の映画『アウトロー・キング』のヒロインは、そう――この彼女。それから、『ハイランドの鷹にさらわれた乙女』のヒロイン・エリー(のモデル)は彼女の妹! そっか、じゃあエリクはロバートさんの義理の弟ってことになるのか!

まぁでも映画見てると最初は意外と気に入られてたっぽい。

H廃位でぽっかり空いたスコットランド王座を狙い、またまた王位継承権争いが再燃する。ロバートの最大のライバルは、あの追放されたジョン・ベイリオルの甥、ジョン・カミン! つまり爺ちゃんの代からバチバチ争ってるわけで、ロバートの一族とベイリオル派はむっちゃ仲が悪い。とにかく反発し合ってる。


ジョン・カミンは別名「レッド・カミン(赤毛のカミン)」と呼ばれてたんだとか。

Iんで、事あるごとに反発し合ってたこの二人だったんだけど、ついに1306年2月、我らがかわうそくん(違う)ロバート・ブルースさん、あろうことか修道院に宿敵ジョン・カミンを呼び出していきなり刺殺しちゃう。――えっマジで? ロバートさんちょっと短慮過ぎない? 呼び出しといて刺すの? そんなことある? 祭壇の前で? マジで? 怖くない? かわうその可愛さのかけらもなくない?

J計画的だったのか衝動的だったのかは諸説あるんだけど、とにかく神聖な教会の中で殺人を犯してしまったのは非常にまずかった。現代で考えてみたってとってもまずい。中世なら尚更まずいでしょう、なにやってんのロバートさん。結局この時点で「殺人者となって追われる」か「殺人すら無効にできる絶対権力者になる」かの二択しか無くなっちゃったわけですよ。――そりゃもうなるしかないよね。スコットランドの王様に!!!


いろいろ最低ではある。

K同年3月、スコットランド王が代々戴冠する聖なる場所スクーンにて、ロバート・ブルースは正式にスコットランド王として名乗りを上げる。この時、「できるだけ即位の儀式を正式に執り行う」ことによって「ロバートの王位の正当性」を強めようとしたため、代々王に冠を載せる役目を持つとされる旧家「マクダフ家の人間」が必要だった。――それが今回の新刊『薔薇を愛したハイランドの毒蛇』のヒロイン、イザベラ・マクダフなのでした。よっしゃああああ繋がったああああああああああ!! 見ろこの圧倒的な基礎知識をォォォーー!!(達成感)

 次回は「ふんふん、でロバートさんはそれからどうなったのよ?」をお送りします。たぶん! 第6回に続く!

<ベルベット文庫 ハイランド・ガード・シリーズ 好評既刊>
モニカ・マッカーティ・作  芦原夕貴・訳

『ハイランドの戦士に愛の微笑みを』

『ハイランドの鷹にさらわれた乙女』

『ハイランドの仇に心盗まれて』

★最新刊『薔薇を愛したハイランドの毒蛇』、好評発売中!

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