生きかた名人 たのしい読書術

生きかた名人 たのしい読書術 生きかた名人 たのしい読書術

著者:池内 紀

■判型/総ページ数:四六判/224ページ
■定価:本体1,700円+税
■ISBNコード:4-7777-1001-7
■発売年月日:2004年03月05日

借金・飲み助・病気・貧乏・メランコリ−
異才・天才・人気作家の作品を繙き
生きかた名人をさがす本の旅

彼が選ぶ生き方名人とは、きっととんでもない人たちに違いない。そう思って読んでみると、やはり、とんでもない人たちの話しだった。
こんな変てこな人たちを「生き方名人」と呼ぶ著者の、偽らぬメッセージが伝わってくる(もちろん、立派でない人たちへのメッセージです)。
――毎日新聞書評より 小島ゆかり



■著者からのメッセージ
人一倍のマイナスをプラスに転じた20人

ふつうなら、とても困ったことなのだ。みさかいなく借金をする。手のつけられない飲んだくれ、天成のホラ吹き、やたらに嫉妬深い……。
そんな人たちが計20人。名前を言えばごぞんじだろう。内田百、吉田健一、寺山修司、芥川龍之介……。
他人ごとではない。借金、飲み助、ホラ、妬み、自分にも覚えがある。日ごろ、あれこれ気に病んでいる。
人一倍のマイナスをいかにプラスに転じたのか。
ここはひとつ、その道の名人たちにたずねてみよう。
池内 紀
撮影:小池守

■本書の特色
名文家で名高いドイツ文学者池内紀氏は、そのエッセイでも独特の視点から人間洞察の冴えをみせて評判をよんでいるが、本書では日本文学史に残る異才・天才・人気作家の作品をひもとき、舞台となる土地を旅しつつ、人間の本質に迫る20の名人(借金・飲み助・心中・生きのびる…)をさがしあてて、まったく新しい、楽しくて、奥の深い、読書論・生き方の作法となった。作家と作品にせまる着眼点の比類なさはまさに池内紀のア−ト(技術)。読書の楽しみを堪能しつつ、生きかた名人に、負の特性をプラスに転じて人生をたのしむ術を学びたい。

〈本書の内容〉

生きのびるための20篇 目次
1 借金 内田百
2 飲み助 吉田健一
3 心中 太宰治
4 病気 堀辰雄
5 妬み 芥川龍之介
6 退屈 坂口安吾
7 借用 井伏鱒二
8 貧乏 林芙美子
9 反復 小川未明
10 気まぐれ 洲之内徹
11 おかし男 長谷川四郎
12 雑学 植草甚一
13 小言 三田村鳶魚
14 かたり 柴田錬三郎
15 腹話術 堀口大學
16 子沢山 与謝野晶子
17 メランコリー 若山牧水
18 へんくつ 正岡容
19 ホラ 寺山修司
20 生きのびる 田中小実昌

イラスト/池内紀イラスト/池内紀
イラスト/池内紀

〈著者プロフィール〉
1940年兵庫県姫路市生まれ。65年東京大学大学院独文学科修士課程修了。96年まで東京大学教授。世紀末ウィーン文化の研究で知られ、79年『諷刺の文学』で第8回亀井勝一郎賞受賞。94年『海山のあいだ』で第10回講談社エッセイ賞受賞。著書に『ウィーンの世紀末』『見知らぬオトカム−辻まことの肖像』『姿の消し方−幻想人物のコレクション』『二列目の人生 隠れた異才たち』、訳書に『カフカ短篇集』『ホフマン短篇集』『カフカ小説全集』『カフカ小説全集』(日本翻訳文化賞)などがある。新訳『ファウスト』(毎日出版文化賞受賞)、『絵本ファウスト』『ゲ−テさんこんばんは』(桑原武夫学芸賞)はいずれも集英社。
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