森敦との時間

森敦との時間 森敦との時間

著者:森 富子(もり・とみこ)

■判型/総ページ数:四六判ハードカバー/272ページ
■定価:本体1,900円+税
■ISBNコード:978-4-7777-1013-3
■発売年月日:2012年08月24日

生誕百年!
昭和文学史に輝く、天才作家の最晩年の
日々を描く、衝撃と感動の評伝小説。

胸に迫る、作家の業、人間の悲しみ。
森敦の最晩年、最も身近で創作の現場に立ち会った
養女である著者が描く、作家の実像。

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作家森敦とは――
放浪の作家。 62歳史上最高齢の芥川賞受賞。
書かざる天才。 恐るべき文学理論。
横光利一、太宰治、檀一雄も才能を認めた。
錚々たる人気作家に小説指導。 山手線車内が書斎。

【本書の内容】
「月山」で芥川賞を受賞して森敦の生活は一変する。出版社、新聞社、打ち合わせや取材で人が訪れ、養女である私は出版社勤めを続けながら、食事、来客の接待、原稿の校閲、毎日敦の世話に忙殺される。調布に2部屋借りたアパートも手狭となり、私は市ヶ谷の高台に土地を見つけ、苦労の末書庫付きの家を建てる。敦は転居を渋っていたが、眺望が良く、使い勝手のいい家を気に入り、今まで以上に客を呼び、又、TV、ラジオの出演、講演、エッセイの依頼が続々舞い込むが来る仕事は拒まず、ユーモアのあるキャラで人気となり、多忙を楽しむように仕事をこなしていく。一方、日常の気難しさは激しくなり、電話の使用さえ文句をつけ、又新たに訪れた女性客と敦の怪しい関係にも悩まされる。そんな中敦が突然、脳卒中で倒れる。執筆以外の仕事は断り、入院し何とか復帰も果たす。嵐のような日常に疲れながら「月山」 に続く大作を切望する私の熱意に敦は再び、…。

〈著者プロフィール〉
1933年5月4日、福島県生まれ。文学を志し、出版社勤務の傍ら、森敦の関わる同人誌に参加。森と文学上の師弟関係となり、森夫妻と親しく接する。指導はするが一作も書かない森を永年に亘り叱咤激励、10年の年月をかけて完成した芥川賞受賞作「月山」刊行に関わる。後、森の養女となる。作品に「花嫁御寮」「聖夜」「杉荘十一号室」「疑似家族」。

装幀/間野成

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